楽観的日和見主義

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

8年前からの手紙

小学6年当時の自分から手紙がやってきた。そういえばそんな企画があったんだっけ。

「二十歳になった自分に手紙を送ろう」

思い思いにしたためた手紙は一旦先生が預かって、8年後の1月、成人式が開かれる時期に一斉に送るというもの。

ビーズを入れたのだけは覚えていた。封筒に堂々とワンピースのドクロマークが描かれてたのには吹いた。当時めちゃくちゃハマっていたのだ。封を切ると、中から真珠色のビーズがポロリと零れた。
折り畳まれた便箋を内心ワクワクしながら開く。内容は思いのほか稚拙で、図々しくて字もきったなくていろんな意味で痛々しかったが、やはりなんとなく感慨深いものがあった。

まず、「今も漫画を読んでいる」前提で手紙が書かれていたこと。何の疑いもなく。当時は漫画家になるのが夢だったから、当たり前といえば当たり前か。
『今はどんなマンガにハマってる?』
(今はスラムダンクかな。ちょっと古いけどアツい話!あと屍鬼だね。今は月ジャンが無くなって代わりに「ジャンプSQ」ってのがあってね。あなたの好きなフジリュー作画だよ。面白いよ)

それから手紙は支離滅裂に続く。親友はいるか、自分は今すごく欲しいが、なかなか本音で話せる人がいない。恋人はいるか。フラれたばかりだったらゴメン。でも大丈夫、いいことあるさ。

残念ながら私は恋人はおろか自分から告白した経験もない。ヘタレだ。これで彼氏いない歴=年齢=二十歳だ。おめでとう自分。
親友と呼べる人間はよくわからないが、あの頃の期待値から言えばいないことになる。友達はぼちぼちいる。だが学校ではいまいち馴染むのに時間がかかる。たぶんそれは昔からだ。ただ、あまり気にならなくなった。

作文もあったので一応読む。痛々しい手紙と比べ、敬語でかなりまともな文章に見える。相変わらず最後の方がやっつけだ。「あなたのいい所、悪い所」が書いてあった。悪い所は割と変わっていない。むしろ悪化しているくらいだ。すぐ楽な方に逃げること、忘れ物をすること。逆にいい所は…うーん、あまり思い当たらない。自分の意見なんてあるかないか自分でもわからないし、割とどうでもいい嘘をつく。さすがに少し恥入る気持ちになった。せっかくだから絵でも書いて入れておけばよかったとちょっとだけ後悔した。
鉛筆でなぞってある手形に手を合わせてみたが、寸分違わず一致していたのに苦笑した。やはりそんなに変わるものではないか。
あの頃、偏屈で自意識過剰でどこか夢見がちだった子供は、未来に大いなる夢を馳せていたんだろうなぁ。自分があの頃どんな二十歳を思い描いていたかは全く思い出せない。だが一応自然の摂理に沿って成長し、成人した。十年後、私が三十路になる頃にはどんな人間になってるだろうか。それも全く想像もつかない。

それから私は二度と届かないであろう返事を書くために便箋を探した。花火柄の綺麗な便箋。返事をばか丁寧に三枚に渡って書き上げると、封筒に入れて、一緒にしまった。
スポンサーサイト

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。