楽観的日和見主義

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「東京の空」宮本浩次

宮本浩次(エレファントカシマシ)『東京の空』宮本浩次(エレファントカシマシ)『東京の空』
(2003/08)
宮本 浩次

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 再販された、エレファントカシマシ宮本浩次による随筆集。
 1999~2003年までの4年間「brige」「ROCKIN'ON JAPAN 」にて連載されていた「東京の空」の単行本です。

 本書を読んでまず思ったことが、宮本氏の文章からわかる生真面目さ。文語の世界に迷い込んだのかと思ったほど、きちんとした文章であった。(うわ~もろに影響を受けている)
 そして日本をこよなく愛する先生の風土愛と哀愁を感じました。ほんとに歴史と文学が好きだねぇ。
 印象的なのは「あなたはどうですか?」という旨の問いかけが非常に多いこと。こういったコラムで「あなた」と読者に呼びかける人をあまり見たことがないんだけれど、これは宮本氏が我々読者を、先生言う所の「運命共同体」だと思ってくれているからに他ならないからなのかもしれない。そうだったならば嬉しいことです。

 とにかくこの頃の先生は車が好きで、埼玉も好きで、田園風景に昔の東京を見て思いを馳せる、そんなロマンチックな方だったようです。(今もか)
 それにしても先生の歴史の博識さには舌を巻きます。その昔、埼玉が東京と共に「武蔵国」と呼ばれていたこと、「国宝稲荷山古墳の鉄剣」はさきたま古墳内で発見されたこと、吉見百穴のことなど、初めて知りました。う~ん、勉強不足を痛感…。
 そしてこの人自分のこと好きだなぁ!とw。もうここまで来るといっそ清清しいよ!だけれども、確かに本人も仰るとおり「ガストロンジャー」はかなりの革命的楽曲だと思います。自分の作品に自信は満々で、けれど失敗は素直に認める。そんな所がまっすぐでよろしいなぁ。
 車については本当にびっくり!月に6000キロって!!ガソリン代なんて月に9万円ですよ。宮本氏自身、免停になった時に「ああこれでもう車に乗らなくていいんだ」とほっとしていたようです。なんかそういうの、あるんですよねー。好きでやってたはずなんだけど、いつの間にか義務みたいになっちゃって、焦りだけ残ってしまうみたいな。車をはじめ、人間くさい部分も垣間見えます。カレーにタマネギを色が着くまで炒めて入れるとおいしいとか、浮世絵と同じ場所を探して同じ角度で写真を撮ったとか、ベッドを捨てたら思いのほか床が固くて後悔した、とか(笑)
 一方で、日本のこととか生命に対しての考えについては、本当に呻吟してしまいます。かつての東京に対しての郷愁や、西洋人へのコンプレックスを晴らすかのごとく高度経済成長を遂げた日本人に対して「とても同じ人種とは思えないほど」と感嘆しつつ、自分の中にも似たような部分を見つけて「俺は日本人だ!」としみじみ感じている所や。『武蔵野』はかつての土のにおいのする東京への鎮魂歌なんだそう。
 「せっかく生きているのに自分をごまかしてしまっては、これは自分に対して申し訳がないことだ」「生きている証が欲しいのだ」。――ここまで生に対し真摯に語る人がどれほどいるだろう。そういえば「good morning」頃の回に、既に「化け物青年」という言葉が出てて面白かった。
 関係ないけど、連載19回目(「俺の道」の頃)で終了してるんだけど、どうせなら20回でキリ良く終了してほしかったとか思った。
 「追憶編」の高校の頃のエピソードが面白かった。一番で入学したのに、次のテストでは下から3番目…(笑)勉強したはずなのに、なぜだ!?と、本人も未だにわからないようです。バンドの練習があるからと修学旅行に一人だけ行かなくって「宮本行かないんじゃつまんねぇなぁ~」とか言われるんだから、楽しい高校生活だったんだろうな。

 偏屈な所があるとはいえ、結構ニュートラルな人で、結構言うこと変わる人だから、彼の今の心情がどうなのか私はわからんけれど、唯一ついえることは、宮本氏はどうしようもなく日本と日本人が好きで、好きゆえに、「このままでいいのか?」「どうなんだ?」みたいな問いかけを自己、他者に向けているような気がします。(「ガストロンジャー」「so many people」しかり)
 それは政治的な意味よりも、もっと根本的な「主体性」だとか「日和見主義」だとかそういう所から問い質しているのだなぁと感じる。確かに日本人の気質として、何が起きても何を言っても「あらあら困るね~」とぼやくだけで、堂々とした抗議やらデモをしようとしない、文句はあっても言うだけで行動には移さないような所があると思います。近日のいろいろを見てても思ったことなんだけど…。まぁ私もそうだし、宮本先生自身もそういう所があると書いています。だけどまぁそういう部分含め、日本の気質に染まってそれを愛する、やっぱり日本人なんだなという諦めにも安堵にも似た感慨に落ち着くというか。うん。何を言いたいのかわからなくなってきました。

 とにかく、これはエレカシファンなら一見の価値ありです!写真もたくさんあって、モノクロだけどそれがまた渋くて格好良かったし、値段もお手頃。
 読みたい方は、Amazonではまだっぽいんでロッキンオン公式からご購入ください。

rockin'on official site
http://www.rock-net.jp/

『武蔵野』
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