楽観的日和見主義

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人間失格 太宰治

人間失格 人間失格
太宰 治 (1952/10)
新潮社

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哀しい、あまりにも哀しい人間という存在。
「恥の多い生涯を送ってきました」という書き出しは聞いたことのある人も多いと思う。最初と最後だけ他人(僕・著者)の視点で、大部分の内容がモルヒネ患者の手記という形をとっている。

思いのほか文体は固くなく読みやすい。また、思っていたより内容は暗くないと感じた。
自分自身に対する自信のなさや劣等感から、必死で道化を演じてきた子供時代。東京に出てから次第に運命が狂っていった青春時代、女に安息の地を求め、結婚をしても予期せぬ悲劇が訪れ、ずるずる堕ちていくしかなかった一人の悲しい男の物語だ。好かれる人間であるにもかかわらず、人に対する恐れや罪悪感から人間関係というものを自ら避けて通るような生き方。しかし主人公が儚くて弱いだけの人間ではない、というのが文章の端々から見て取られる。彼は普通の人間に対して劣等感や羨望のほかにも、どこか敵意も感じているのだ。それに、主人公の持つ天性の調子のよさ(器用さ)が、暗い雰囲気を緩和してくれている。

とはいえ、やはり晩年は悲劇的である。自分でわかっていても、駄目になるしかできなかった人間の無力感と哀しさが胸に迫る。
主人公の葉蔵はいわゆる「駄目人間」ではあるが、共感しない人はいないのではないだろうか。誰かの傷ついた顔を見たくないから喜んだふりをしたり、自分はここにいてはいけないのかもしれないと不安になったり、誰もが抱える不安を増幅させ、結果的に「人間ではなくなった」男。

ラストで少し涙が出そうになった。ぜひ一度は読んでほしい一冊である。
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