楽観的日和見主義

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「箱男」 安部公房

箱男 箱男
安部 公房 (1982/10)
新潮社

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自分は姿を現すことなく、相手のことを覗き込みたい――
そんな種類の欲望はおそらく誰もが抱いているのではないだろうか。
箱男はズバリ「覗き文学」だ、という声もあるらしい。その通り、これは覗きの安心感と快楽に魅せられた人間たちの話だ。
ダンボール箱で全身を覆い、匿名となった人間――彼らは、箱男と呼ばれた。箱を被った瞬間から、彼らは人間でない存在となる。存在しており不在の存在となるのだ。

大まかに説明すると、この箱男である「僕」が、看護婦や医者と関わっていく中で記録を取っている、という形だ。また、A・B・Cそれぞれの人物の視点で語られる章もあり、話が進んでいく。このA・B・Cはそれぞれ無関係で、脈絡なく話に挿入されているようにも思えるが、「僕」の本名なども不明なためいろいろ当てはめると面白いことが見えてくる。
ネタバレ(にはならないと思う。安部だし)しつつ説明すると、今回もまた主体と客体の入れ替わりが主題なように思う。「僕」は「私」でもあり、そして「君」なのだ――、という文が中に書いてあったような気がする。実はこれ読んだのかなり前なのでちょっとあやふやなのだが…。
どこから変わるか、どんな状況なのか、初めから二重人格だったのか?など考えると疑問が尽きないが、作者の小説に於いてそういうことを考えるのは無意味かもしれない。
また、この小説非常にエロチックでもある。女体の描写もさることながらもうそのまんまなシーンもあるし、見ていて飽きないと思う。個人的に、一見最も関係なさそうなCが「僕」の幼少時代なんじゃ…とか考えてしまった。

とにかく面白かった。途中途中で挿入されている写真もなかなか味わいがあっていい。
匿名性の溢れている現代にぴったりな本。
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